ファシリテーターの迷いと壁

先日のセッションでは、ガイド役、ファシリテーターとしての私の癖と言うか、うまく進めるために身に付けた、手に入れたパターンが、クライエントの言葉をとらえ損ねるという落とし穴にも繋がるというという学びがあったので、今日はそれをシェアしたいと思います。

 

振り返ると、以前企業研修のトレーナーをしていた時に、「型を覚える」「覚えた型をその通りに、或いは組わせて実施する」というやり方をしていました。受講者の方々が研修の目的であるスキルを身に付けたり、考え方の枠組みを広げることが、ある程度できているようでしたので、私にとってはこの型=パターンが成功の定石でした。

 

スキル研修であれば、或いは違った視点の提供であれば、この第一段階でまだ通用するかもしれません。しかし、コーチングの場面では、特にクリーン言語のセッションでは、こうしたパターン化には落とし穴がありました。

 

私がクリーン言語のセッションに魅力を感じているのは、一人ひとり異なる問題を、その方独自に生み出されたメタファーを用いて探求していくこと。そしてそのための質問と進行の明解なパターンがあることでした。

 

まず初めはそのパターンに慣れていくこと、自然とクリーンの質問をある程度順番通りに適切できることが私の目標でした。それにはセッションの積み重ねが必要で、今でも完璧とはほど遠く、「この質問はこのタイミングで良いのだろうか」という疑問は常に持っています。

 

そして今回は「順番通りとパターン化」という私の宝刀がセッションの遠回りを招いてしまいました。

 

「力を抜く勇気があれば」

 

何が起こる必要があるか、2回聞いたら次に何が起きるかを聞く、というのが私の中のパターンでした。力を抜く、がどのように力を抜く、なのかを聞き、そして次に何が起きるか聞き続けてしまいました。

 

クライアントになってくださった方の中でメタファーが成長していく物語を語るのではなく、どんどん頭で考えさせて説明をさせてしまっている。。。そのような感覚を覚えてあせり、その後にもクライアントが口にする「勇気」という言葉に気づけない。

 

他にも色々なメタファーを生み出して頂きましたが、全ての動きが止まり、この状況の中で何が起こって欲しいかと最初の質問に戻ることで、この「勇気」についてワークすることになったのです。

 

「勇気」とは、クライアントにとってはどのような勇気なのか?一般的な言葉(名詞)はその人にとってどのようなものなのか、丁寧にきいていくこと、という進め方のパターンに当てはめる前の基本がおろそかになっていました。

 

今回のセッションではほかにも改善点はたくさんフィードバック頂きました。進め方の定石は頭にいれつつ、常にクライアントの世界を語る言葉に耳を傾け丁寧に聞いていく、こうした両刀使いができるようになるのはいつの日か。。。

 

手順やルールがあるからこそ技法は成り立ちますが、セッションを成り立たせるのは言葉をよく聞き、丁寧に進めることがクリーン言語では肝と再認識しました。違うようでしたら、どなたか教えてくださいませ<m(__)m>

 

セッションではクライアントの旅に全集中で伴走し、そのうえで迷いながら発見、再認識しながら、更なる質的向上に精進したいと思います。クリーン言語をお使いの方々、ぜひ練習会にもご参加いただければ嬉しいです。